2015年1月11日日曜日

ゼロ地点から眺めたら

先々週、リチャード・ラングによる、ダグラス・ハーディングの『天と地の階層』講演ビデオを見ました。見られる距離によって自分が人であったり星になったりする、という話が最初はピンとこなかったのですが、数時間後、歯を磨こうとしたときにそれがピンときて、その当たり前の事実のすごさにびっくりし、またそれをすっかり見過ごしていたことにも驚きを感じました。

実際は歯ブラシだったんですけど・・・
目の前にあるメジャーは、25cm程度の距離からは、こんな風に見えます。


そして10cmくらいからだとこんな感じ。


もっと近づくと上のロゴしか見えなくなって・・・。


さらに近づくとロゴの一部しか見えなくなります。


もう写真は取れませんが、これよりもっと近づくと、青い線の一部がクローズアップになります。もう私に見えているのはそれだけです。ロゴでもなければメジャーだなんてとんでもない!という感じです。

そしてそのとき私にclickしたのは(ピンときたのは)、このメジャーに(実際には歯ブラシ)近づくのには限界がある、ということです。目の上に押し付けてもいいけれど、それ以上その中に入って行くことはもちろんできません。だからどうやっても、メジャーや歯ブラシの実際の生身の経験を身を以て知る、ということはできないわけです。

ところが。

唯一それができるところがある。

それが自分。

自分をゼロ距離から眺めてみる―なんて天才的なんだろう!と思いました。そして自分についてのゼロ地点からの生身の現実がわかるのは、自分だけなのだという事実、そのすごさに打たれました。

でもこれは、”私の気持ちは私にしかわからない”というのとはまったく違います。”私の気持ち”は対象物で、ゼロ距離にあるものではありません。

すごい。天才的。